クロガネ・ジェネシス

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第三章 再び、エルマ神殿にて

 

絶体絶命バトル



 火乃木、ネレス、シャロンの3人はエルマ神殿の大聖堂にてアーネスカと気絶したライカに出会った。

 ボロボロの大聖堂。その中でアーネスカがライカに肩を貸し、移動しようとしているところだった。

 火乃木達3人はここで何があったのかはよく知らない。ただ、今零児が追っている赤いスライムと戦いがあったことくらいは想像することは出来た。

「アーネスカ!」

 ネレスがライカに肩を貸している姿を見て声をかける。

「ネル……それに火乃木。それと……知らない子……」

 アーネスカは火乃木とネルのほかにもう1人知らない女の子がいることに気づき、ダイレクトに「知らない子」と表現した。

「……」

 出会い頭にいきなり知らない子呼ばわりされたことにカチンと来たのか、シャロンは不服そうにアーネスカを見つめた。もっともお互い初対面だから仕方がないといえば仕方がないのだが。

「あ、ごめんごめん! とりあえずネル。手伝ってくれない? あたし1人じゃちょっときついわ」

「OK」

 気絶している人間を運ぶと言うのは中々困難な作業だ。ネルもそれがわかっているので、言うまでもなく手を貸すことにする。

「で、色々聞きたいことはあるんだけどさ、とりあえず零児と赤いスライムがどうなったのか教えてくれない」

 アーネスカはネルに聞きながら、ネルと一緒にライカの体を支える。

 火乃木とシャロンもそれに続き大聖堂から退室した。目指すはライカの寝室だ。

「クロガネ君なら、あの赤いスライムを追ってる。エルマ神殿から出てしまったから」

「ってことは、今赤いスライムと戦っているのは実質零児だけってこと?」

「そうなるね」

「……危険ね。一刻も早く加勢しなければ」

「私達もあの赤いスライムとは何度か戦ってる。だからある程度戦いやすいかも」

「じゃあ、とりあえず。赤いスライムの弱点やらなんやら色々教えてくれる? そうすれば対策を立てられるかもしれない。あんた達が今までどこで何していたのかについては後で聞くから」

「そのつもりだよ」

 ネレスは小さく笑いながらそう答えた。



 ライカの寝室にてライカをベッドに寝かせる。

 夕焼けがライカの寝室に赤々とした光を注ぐ。

「どう? アーネスカ」

「……」

 ライカの顔色を見ていたアーネスカにネレスが問いかける。ライカは目を覚ます気配を見せず、ぐったりとしている。

「とりあえず、全身を疲労していてすぐには目を覚ましそうにないわね。念のため医者に見せたほうがいいかも」

「そう……」

「とりあえず。今はあの赤いスライムの対処に専念しましょう。ライカのことは、他のエルマの騎士に見てもらうわ」

 アーネスカは立ち上がり、早々にライカの寝室から退室した。

 アーネスカは既にネレスから赤いスライムについての知識を一通り耳にしていた。

 赤いスライムは人間に寄生する能力を持つ精神寄生虫《アストラルパラサイド》が作り出した体の一部とも言えるということ。

 人間の魔力を無尽蔵に食らい、その人間の知識を吸収することで人間並みの知能を持つこともありえると言うこと。

 分裂、結合、変形することによって様々な戦い方を持つと言うこと。

 炎を弱点として、中途半端に燃やした場合液状化して暴走したと言うこと。

「あたしはこれから零児の援護に向かうけど、あんた達はどうする?」

 廊下を歩いている最中、アーネスカがネレスたちにそう問いかける。

 だが、全員気持ちは同じだった。

 零児1人が戦っているのに自分達が戦わずして黙っているわけにはいかない。

 ネレスも火乃木もシャロンもそれについては同じだった。

「OK。じゃあ、3人とも馬小屋で待機してて。あたしもすぐに行くから」

「アーネスカはどうするの?」

 アーネスカだけが後から行くと言っていることに対し、火乃木が疑問を投げかける。火乃木は本音を言えば今すぐにでも零児の元に駆けつけたいと思っていた。

 今まで赤いスライムと戦ってきてロクな目にあっていない。4人がかりで巨大スライムを倒したときもネレスやシャロン、それに零児。誰一人欠けていてもあのスライムを倒すことは出来なかったと言う事実もある。

 そのことが火乃木の心に焦りを生み出していた。

 零児が死ぬなんて思っていないし、考えたくもない。だけど、左腕を失った零児の今の戦闘能力を考えたら、いてもたってもいられなかった。

「赤いスライムについて色々聞いているうちにあいつの弱点がなんなのか考えてみたの。確実に倒すための装備を整えてくるから、少し待ってて欲しいのよ」

 火乃木の気持ちを汲んでか、アーネスカはなだめるように火乃木に言った。僅かとは言え、アーネスカと火乃木は供に行動していた時間がある。それだけでアーネスカは火乃木がどういう思考の持ち主なのかある程度見抜いていた。

 全てではないがはっきりわかったことはある。

 火乃木は零児を中心に物事を考えていると言うことだ。

 そして、今その傾向が顕著になってきていると言うことも。

「なるべく……早くきてね」

「わかってる。可能な限りすぐに行くから」

 アーネスカは火乃木にそう告げる。金髪で流麗のセミロングをなびかせ自室へと向かった。



 アーネスカは約束どおり可能な限り早く馬小屋へ来た。

 銃を収めるホルスター。その左側には即座に銃の弾を装填するための銃弾を収めた箱が2つ、右にはアーネスカの愛用している回転式拳銃《リボルバー》が収められている。

 それともう1つ。背中に背負った木製のケース。

 アーネスカはきて早々、2頭の馬の束縛を解く。

「じゃあ、行くわよ。火乃木はあたしと、ネルはその子と一緒に馬に乗って」

「OK」

「……(コクン)」

「わかった!」

 4人は2人一組になって馬に乗る。

 アーネスカが先行し、ネルが乗った馬はそれについていく形になった。

 馬小屋を出てエルマ神殿の表まで出てくると複数のエルマの騎士達がいた。

「アーネスカ様!」

 マナ・ゼプツェンがアーネスカの姿を確認し、声をかけた。

 アーネスカはこの場にいるエルマの騎士全員に聞こえるようにはっきり言い放った。

「あたし達はこれから、ライカ・L・ミリオンの体を乗っ取っていた精神寄生虫《アストラルパラサイド》なるものの掃討に向かう! その間の行動は各々判断せよ!」

 アーネスカの言葉にエルマの騎士達の間で動揺が広がる。

 ライカの体が何者かに乗っ取られていたなんてこと、大半のエルマの騎士達は予想すらしていなかったのだ。

 いや、もしかすると可能性くらいは考えた者もいたのかもしれない。しかし、それでもやはり少数意見だ。

 ライカの様子がおかしいことくらいは察知していたが、それはライカ自身の判断によるものだと思っていた人間の方が多かったのだ。

「マナ」

 アーネスカはマナに声をかけた。

「はい!」

 マナはアーネスカの前でピンと背筋を伸ばす。

「ライカは今自室で寝ているわ。彼女の様子を見てあげて。場合によっては医者をお願い」

「わかりました!」

「それと、今エルマの騎士達の心は動揺しているはず。事態がややこしくならないよう、みんなをまとめて欲しいの。可能な限りでいいから」

「はい! アーネスカ様のご指示とあらばこちらも尽力させていただきたい所存です!」

「お願いね」

 アーネスカはマナにそう告げる。

「火乃木、零児の場所まで案内して。あんたわかるんでしょ? 零児の居場所!」

「うん!」

 零児はノーヴァスの館を脱出してから、どちらが離れてもお互いの居場所がわかるお札を火乃木とシャロンに渡していた。なので、火乃木も零児が今どこにいるのかわかる。

「よし! じゃあ行くわよ!」

 アーネスカは馬に鞭打ち、ルーセリア城下町の方へと向かった。



 遡《さかのぼ》ること数分前。

 奴め……どうあっても俺から逃れるつもりか……!

 ものすごいスピードで走り続ける赤いスライム。俺は今それを追っていた。

 辺りはだだっ広い草原が広がっている。

 ルーセリアと言う国は法と秩序を重んじる国であると同時に、四方を森と広大な草原で囲まれた国でもある。

 もちろん国と言うからにはいくつも町があるわけだが、俺達が活動していた近辺は城下町を中心に広大な草原が広がり、そこから様々な施設が草原の真ん中に点在しているのだ。

 エルマ神殿もその1つで、城下町からエルマ神殿まではさほど離れていない。歩いて3,40分程度の距離だ。俺が全力で走ればそれこそ10分とかからずにたどり着くような距離だ(体力的な問題を視野に入れなければの話だが)。

 つまり、それまでに奴に追いつき止めなければならない。だが、今までと違って奴は人間並みの知識を持っている。

 奴は今人間の姿をしていなかった。

 俺が知りうる動物の中でもっとも足が速い動物であるチーター。その姿になって、奴は走っているのだ。  くそ! 速すぎる! この俺が……ついていくのがやっとだなんて!

 このままでは城下町に入った途端大惨事になる!

 体力の消費は激しいが……。

 俺は自分の足に魔力を込める。正確には、自分の靴そのものに対して魔力を込める。

 そして、魔術発動のキーワードを唱える。

「進速弾破《しんそくだんぱ》!」

 靴の裏から魔力の噴射による強烈な推進力が生み出され、一瞬にして移動速度を引き上げる。

 一瞬にして爆発的なスピードを生み出す移動用の魔術だ。もちろん一時的なもので永続的にその速さで走れるわけではない。

 しかもこの技には人間が受ける風圧や足への負担と言うものをまったく計算に入れていない。だから体力を極端に消耗する技なのだ。魔力そのものを推進力として使うわけだから当然魔力もかなりの量を消費する。

 正直な話、なるべくこれを使わずに行きたかったのだが、城下町に入られる前に止めなければならないことを考えればそうも言っていられない。

 だが、この技を発動して魔力切れを起こしては本末転倒だ。あくまで奴に追いつき、これ以上の進行を防がなくてはならない。

 進速弾破によって俺は赤いスライムの移動スピードよりはるかに速いスピードで地面を走る。そして、すぐにチーターの姿をした赤いスライムの横に並んだ。

「捕まえたぜ!」

 俺はその瞬間、赤いスライムの真上に跳躍した。

「最小限度にて、剣の弾倉《ソード・シリンダー》!」

 俺は自らの魔力容量《キャパシティ》を考え、なるべく少ない消費で剣の弾倉《ソード・シリンダー》を放つ。

 撃ちすぎなければ魔力切れなんて事態は防げる。

 赤いスライムの上空から剣の雨が降り注ぐ。それらは赤いスライムの進行を妨害し、いくつかがスライムの体そのものに突き刺さった。

「散!」

 俺は空中で言い放ち、突き刺さった大量の剣を爆発させた。

 その爆炎を背に地面に着地する。

 城下町への侵入をどうにか防ぐことは出来た。しかし、城下町と俺達が今いる場所はかなり近い。

「ハァ……ハァ……ハァ……。殺ったか……。なわけ、ないか……」

『おのれ……。どうあってもオレのジャマをするつもりのようだな……』

 クッ……やはりこの程度の爆発でコイツを消滅させることは無理か……!

 奴はライカさんの肉体に寄生している間に大量の魔力を吸収している。その大量の魔力が奴に存在している限り、無限投影での武器爆散では与えられるダメージは微々たるものだ。本体を狙えば確実に仕留められるとは言え、それが簡単に出来ればそもそも苦労していない。

 スライムの内側に本体が眠っているからピンポイントで狙い撃ちすることも出来ない。

 爆炎の中から赤いスライムが自らの体を人型に再生させながらその姿を現す。

 だが、今回は大きさが違う。ノーヴァスの館で戦ったときみたいな巨体に変形したのだ。いや、変形と言うよりも増殖だ。

 ノーヴァスの館で戦ったときとの大きな違いは、ただ大きいだけではなく、人間としてある程度形が整ったほぼ完全な人型であると言うことだ。

 どうにも俺は巨大生物に好かれるみたいだな……。

『おマエさっきイったな。オレゴトきにおマエをコロせるとオモうなよって……』

「言ったがなんだ……?」

『だったらこのオレをトめてみろ! デキるものならなぁー!』

 赤いスライムは左足を上げてを踏み潰しにかかる。それを交わすために俺は走る。

 こんなものに踏み潰されて人生お陀仏なんて冗談じゃないぜ!

「うおおおおおお!」

 奴に踏み潰されることなく、俺は赤いスライムと距離を取る。

 そして、刀身のない剣を抜き、無限投影で刀身を出現させる。

「いくぜ!」

 俺は大きくその剣を構え、力強く振るう。同時に刀身をさらに伸ばし、それでスライムの左ひざの辺りを切りつける。

「散!」

 そして刀身を爆発させた。同時人型スライムはバランスを崩し、ゆっくりと倒れてきた。

 潰されてはたまるまいと、俺はすぐに走り出し交わす。そして、その巨体は地面に倒れ、大地が揺れた。

 増殖と変形。これはかなりまずい。魔力の絶対量が多いから、その魔力から大量のスライムを生み出すことが出来るんだ。

 奴の弱点を突く意外に俺に勝ち目はない。しかし、これだけ巨体ならばそれも狙えない。

 どうすればいい……!?

「貴様! これは一体どういうことだ!」

 そのとき、聞き覚えのない男の声が聞こえた。

「……?」

 声のした方を振り向くと、そこには鋼鉄の甲冑に身を包み、馬を駆る人間が現れたのだ。

 それも1人2人ではない。10人くらいいるかもしれない。

 ルーセリアの兵士達か!?

 そうか! 城下町近くでこんな巨大なスライムを目撃した一般人が役人に通報したのか。だが、役人で対処不可能な存在だったから兵士達が出てきたのだろう。

 当たり前だ。役人は基本的に人間に対して与えられた権力を行使する。しかし、人外を相手にする場合役人では対処できないから、兵士クラスの人間に手が回ってきたのだ。

「この状況の説明をせよ!」

 兜《かぶと》で表情までは伺えないが、今俺に向かって話しかけているこの男こそが体長なのだろう。

 だが、正直こんな兵士達にあのスライムをどうにかできるとは思えない。コイツに肉弾戦なんて無意味なんだ! 炎系魔術によって早期決着をつける必要があるんだ!

「説明してる時間はない! この中に魔術師はいないのか! 奴の弱点は炎だ! 人間がいくら束になってかかったって、力勝負で勝てるわけがない!」

「あれはスライムか?」

「そうだ! だから……」

 俺がさらに続けようとしたとき、赤いスライムは再び立ち上がった。

「クッ……! なるほど、確かに長話をしている場合ではないな。貴様は下がれ! 後は我々がやる!」

 隊長格の男が言う。冗談じゃない! 大体どうやって戦うつもりなんだ!?

「無理だ! 大体どうやってあれを倒す!?」

「奴は炎が弱点なのだろう? ならば!」

 隊長格がそう言い、次に全兵士にはっきり告げた。

「手加減はするなー! 全員、フレイム・ピラー!」

『サー! フレイム・ピラー!』

 隊長格の男の声に応じて、兵士達が自らの持つ槍を掲げ、魔術を発動する。

 魔術媒体に槍を使っているのか?

 魔術の発動と同時に巨大スライムの足元から複数の火柱が昇る。炎の柱を出現させて対象を永続的に燃やし続けることに特化させた魔術だ。

 その炎によって人の形をしたスライムの足元からドロドロと液状化して溶け出していく。

 まずい……! このパターンは……!

「今すぐ攻撃を止めろ! 今すぐだ! そして逃げろ!」

「何を言う! 炎が弱点だとそなたが言ったのだぞ!」

「いいから早く止めろ! このままじゃ……!」

 それ以上続けられなかった。

 その前に恐れていたことが起こったからだ。

 ドロドロに液状化した赤いスライム達は、1つの津波になって俺達のいる地面を覆うように襲ってきたのだ。

「逃げろおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 俺は巻き込まれないように、その場から全力で走る。

「進速弾破《しんそくだんぱ》!」

 そして再び進速弾破を発動。足の負担も省みず、とにかくその場から離脱することに専念する。

「うおおおおおおおおおお!!」

 とにかく走る! 走る走る走る!!

「うっ……!」

 しかし、俺は自分の魔力量を頭に入れないまま魔術を発動したため、自分の魔力が凄まじい勢いでなくなっていくことに気づいていなかった。

 いや、そんなこと考える余裕さえなかったと言うのが正しい。

 走っている途中で俺の魔力が切れたのだ。

「うわっ!」

 魔術発動に伴って動かしていた足の動きが空回りする。そして勢いに任せて、俺は地面を転がった。

 どれくらい距離が離れたのかは正直よくわからない。

 魔力切れのショックと地面を転がった時の衝撃で、体がバラバラになりそうなくらい痛い!

「くっそ……!」

 俺はスライムを見る。

 数十メートルは離れたが、俺の目には十分にそれは見えていた。

 液状化したスライムに兵士達は飲み込まれ、取り込まれてしまったのだ。人としての原型はとどめていて、必死に助けを求めているように見える者達もいる。いや実際助けを求めているのだろう。

 しかし、どうにもならない。赤いスライムによる消化は始まっている。

 あのまま体を解かされて骨にされてしまうのだ。それは馬も同様で、必死に暴れているのがわかる。

 別に目の前で誰かが死ぬのを見ること事態は慣れている。だからショックは感じない。人間の命なんて結構簡単に消えてしまうものだ。

 だけど諦めたくはない……! だが、もう体は動かない。魔力が切れるということは生命力の枯渇。魔術が発動できない状態まで魔力を使ってしまうと言うことは肉体的にも大きな負担になる。

 肉体的に大きなダメージを負っていないのにほとんど体が動かないのは魔力切れの影響も大きいからだ。

「こんなのって……ありかよ」

 呆然とする他ない。無理があったんだ。俺1人では。

 ノーヴァスの館では4人もいた。俺、火乃木、ネル、シャロン。全員一丸となったから勝てたんだ。

 そのときよりさらに知恵もあり、魔力も大量に持つコイツに俺が単身で挑んで勝てるわけなかったんだ。

 色々考えていると、巨大な赤いスライムは悠然と俺を見下ろしていた。

『フフフフ……』

 何笑ってやがる……!

『ムリだったなぁ。おマエでオレをタオすのは』

「ウッ……ウウ……」

 俺は痛む体を無理やり立たせる。

『まだウゴけたか……』

「うるせぇ……!」

 俺はスライムを睨みながら言った。

 赤いスライムの体の奥底にまで兵士や馬の肉体は押し込まれ、すでにその姿は見えなくなっていた。

 どうする? どうする? どうするどうする? どうするどうするどうする!?

 殺されるのか? ここで終わるのか? 俺は……!

 こんな奴に殺されて!

「……!」

 満身創痍になっていた俺はあることに気づき、耳をそばだてた。

 音が……聞こえる。

 これは……馬の足音?

『ん?』

 スライムもそれに気づいたのか俺と同じ方向を見る。

 馬は2頭。その2頭には俺の見知った人間が乗っていた。

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